昔は日本酒は嫌いだった…
純米酒とか吟醸酒とかいう言葉も無く、2級酒、1級酒、特級酒という区別しかなかった時代の事である。
むせ返るような臭いがして、どうにも飲めなかった。
ビールは飲んだ。ウイスキーも飲んだ。
しかし、ウイスキーは高かった。
「オールド」なんかはめったに飲めず、「レッド」ばっかり…
『オールドにしてよ なーんて言うと、
おや景気いいね と 給料日前なのにあんまり無理しないで
なんて言われて それじゃやっぱりホワイトでいいよと…』
(伊勢正三作詞 「何かいいことありそうな明日」より引用)
この「ホワイト」も確か「レッド」の倍くらいしたし、「角」なんかはもっと手の届かない存在で、代わりに「レッド」と同じくらいの値段の「サントリージンライム」なんかを飲んだ。
サントリージンライム!青春の味!
いつごろだったか…たぶん静岡県工業試験場の河村伝兵衛さんが静岡酵母を開発し、静岡の酒蔵に分配した時か…
それまで全国新酒鑑評会には無縁であった静岡の地酒がいきなり金賞を多数受賞し、静岡にも吟醸酒ブームが起こった。
我々調査団もその頃は静岡の地酒を飲み漁ったものであった。
ただ、そのブームは淡麗辛口一辺倒であって、「淡麗辛口にあらずんば日本酒にあらず」のような雰囲気で、飲み飽きしないスッキリ綺麗な酒ばかりであった…と思う。
いろんな銘柄、どれを飲んでも飲み飽きしない淡麗辛口の酒で、飽きてしまった…
そうして(我々の)吟醸酒ブームが去っていき、ワインブーム~焼酎ブーム~泡盛ブーム~ウイスキーブーム(スコッチブーム~バーボンブーム)~ジンブーム…と巡り巡っていた。
そんなある日(2015年11月)。「地球温暖化の、紅葉の時期と色に与える影響についての調査(その9)」で小豆島を訪れていた調査団は、小豆島の地酒
至宝 森を発見する。
この酒は、淡麗辛口の飲み飽きしない酒とは全く別のモノであった。
濃い色(山吹色)に驚き、更に濃い味に感嘆し…
…しかし、またしばらく忘れていた。
更にボーっと生きていた‥2016年6月。こんどは奈良の居酒屋で、大和の酒
「春鹿」と「風の森」に出会った。
ここで「春鹿」と「風の森」の違いについて、
日本酒度という尺度について疑問を持ち‥
研究試料を取り寄せていろいろ調べ始め、調べれば調べるほど更に謎は深まり‥
日本最北の地で、おさけのぱわーに必要不可欠な
温度制御について妙な共感を持ち…
そうこうしているうちに「日本の醸造文化に関する歴史的文化的科学的調査
(または「ぼくのだいすきなおさけのぱわーのけんきゅう」)が始まったのであった。
だが、まだまだ謎は解明できない…
継続的調査研究に全力で取り組む必要がある。
Don’t sleep through drink!
◎:是非また飲みたい。取り寄せたい・現地へ行って飲みたい
○:現地へ行ったら是非飲みたい。
・:もちろん普通に美味い。
△:口に合わない? 保管が悪かった? ハズレを引いた? やや難有り。
□:個性的
(調査団の好みで、日本酒度がマイナスのモノほど高評価となる傾向有り。)
(評価は気分によるところが大きい。楽しいツーリング中、現地で飲む酒は超美味い…)
(低評価は吟醸香の好みによるところも有り…)
2大吟醸香「リンゴ香:カプロン酸エチル」「バナナ香:酢酸イソアミル」のうち、
バナナ香は香り成分のバランスによっては「セメダイン臭:酢酸エチル」と紙一重‥というか紙十二一重?。
低精白で低温長時間の吟醸造りをすると、吟醸香のバランスが崩れ安い?
日本酒度について分かった事
日本酒度は出来上がった酒の比重である。
水と同じ比重ならば±0
軽いと+側に増えていく。(一般的に言う辛口)
重いとマイナス側。(一般的に言う甘口)
正確に表すと
日本酒度=(1/比重 ー1)✕1443
アルコールは水よりも軽い。
純粋なアルコールの15%水溶液の比重は0.98112
これの日本酒度は
(1/0.98112 ー1)✕1443=27.77
多くの日本酒は+1桁くらい。
なぜアルコール飲料なのに水より重い(日本酒度マイナス)日本酒が有るか?
それは重い不純物(呼び方が良く無いかも…)が含まれているから!
不純物()は、ほとんどが米のデンプンが変化した糖類。
他にもいろんな不純物が含まれている。
(甘み成分・うま味成分・酸味成分・・雑味成分…)
日本酒度が大きく(辛口)なると不純物が少なく、純粋なアルコールに近づいていく。
逆に日本酒がマイナス側(甘口)になると不純物()が多く、複雑な味になる。
辛口の酒は淡麗な1種類に収束していく。(個人の見解です)
甘口の酒は複雑さが増して多種多様な(中には雑味も‥)個性豊かなモノになる。
日本酒の個性は原料米によるところが非常に大きい。
以下、個人的な見解であるが
一番有名なのは「山田錦」。これで醸した酒は淡麗辛口になるモノが多い。(ように思う)
次に「五百万石」。これも「山田錦」に似た感じ。
調査団が一番気に入っているのが「雄町」。
「雄町」の酒は濃厚旨口になるモノが多く、この酒を好む人を「オマチスト」と呼ぶらしい。
他にも、個性的な酒米は多数あり、近年調査団としてはあえて「山田錦」「五百万石」を外して
日本酒を選定する事が多い。